「寒いから中に入るこっちゃ!」と誰となしに、人懐こい笑顔で出迎えているのが社長である松井文一。社員さんを家族のように見守り、支えている。
現在69歳の社長は松井家に生まれ、子どもの頃から会社で遊んだり、社員の方にかわいがられ、なんとなく幼少期から継ぐ覚悟はできていたという。主力生産品である着物の売上減少、更に2008年に会社を襲った洪水など数々の苦難を乗り越えてきた社長だが、その背景には手を取り合って支えてくれる大切な人々の存在が大きかったという。
「社長!○○番の織機の調子がおかしいです!」と走ってくる女工さん。社長も「分かったよ!」とすぐに現場に掛けつけ、織機の声を聴く。「古い織機やから大切に使わんなんがいちゃ」と織機までも家族のように愛でる姿がほほえましい。
女工さんも、織機も、ここで織られている絹もみんな幸せに思えてならない。ここで働くことで何か大切なコトに氣が付かせてもらえるように感じる。
現在は、和装用の絹織物の生産から、絹を身近に感じられる商品の生産に主力を注いでいる。